「知」へのモチベーション

出張中に、「脳を鍛える―東大講義「人間の現在」」という立花隆の本を読んでいます。
私はかなり自分の勉強法や書籍選び、本の読み方等についてこの人の影響を受けています。といっても、彼の興味範囲、守備範囲は無茶苦茶に広いため、とても全部は読みきれていませんし、読んでいるものに対する理解も浅いものがかなり多いだろうなというのは自覚しています。

それでも尚、この人の本を読みつづけるのは読後に圧倒的な「知」へのモチベーションが高められ、読みたい本、知りたいことが山のように見えてくるというワクワク感がたまらないからなのです。

さて、現在読んでいるこの本は、19997年〜1998年にかけて彼が東大の教養学部でおこなった講義を元にまとめられた本。自分の脳は自分で鍛えろ!、そして鍛えるには偏ったものの見方を排除し、世界を様々な方向から見る必要がある。
具体的に言うと、世界の捉え方は、以下の3つのフェーズが必要。
・フェーズ1:客体それ自体を、それだけで自立している世界としてとらえる。自分はその世界の外の立場に立って眺める立場に徹し、その中には入らない。(ex. 基礎医学法哲学
・フェーズ2:自己を客体世界の中に投じ、すべてを自己との関連性において見る。(ex. 臨床医学、法学)
・フェーズ3:客体世界を離れて、自己の内部世界にどこまでも入っていき、自己の深淵の中に小宇宙を見出し、外部世界は内部世界に反映する限りに見ておく(ex. 哲学)

様々な方向から物を見るには、「教養」という幅の広い知識が必要であるということを主張しています。そしてその具体的事例としてこの本では「人間の存在」を彼の持つ教養を通じてみていくというような感じでまとめられています。(まだ途中までしか読んでいないので、理解にズレがあるかもしれません・・・・)

教養の重要性については、彼の「東大生はバカになったか 文春文庫」という本の中で大きく取り上げられています。タイトルが刺激的ですが、実際の本書は東大の馬鹿さ加減をクローズアップしているのではなくて、現在の大学教育の問題点、大学は本来どう機能すべきなのか?というのが論じられています。その中で東大ですら、こんなになりつつある・・・・というような内容や、もともと東大はどういう存在であったのか?というようなことが書かれています。

上記2冊の本を読むと、大学で勉強できるということの有り難さをしみじみと感じるし、せっかく大学に在籍している以上できるだけ深いものを学びたいと思うのです。
仕事を通じて、普段の生活を通じてだけでは、絶対に手に入らない「知」を得るために、あえてここにいるのだから、吸収できるものはできるだけ吸収して、広いものの見方を身に付けたいとしみじみ思っています。